一休みして、また歩き出す
回復への旅路をお供します
うつ病について
ストレスの多い現代社会で、近年、”うつかもしれない?”と悩み、メンタルクリニックを受診する方が増えています。
以前なら性格や精神力の問題とされ、未治療で苦しまれていた方も、世間に広く認知され適切な治療を受けやすくなってきたと考えられます。
一方、「現代型うつ病」という新たな病像が出現したり、気分が落ち込む=うつ病とマジックワードの様に扱われたりする事もしばしば認められ、未だ正しく認知されるに至ってはおりません。
目次
うつ病の現在
うつ病は、罹病率から見ると高血圧などと同じくらいありふれた疾患であるにも関わらず、しばしば見逃されてしまいます。うつ症状を呈する6割近くの方が、身体の症状で一般内科を受診していると調査報告があります。また、きちんとトレーニングを積んだ医師が診断すれば、決して診断は難しいものではありません。
時に重症化し自殺行動に発展する危険をはらみ、また発病した方の約半分は再発をすると言われるくらい反復する事が多いのも特徴です。加えて、その他の精神疾患を合併したり、身体疾患を悪化させたり、結果的に職業上や社会的な問題を引き起こす場合があり、WHOの推計では2030年には疾病による経済損失は1位になると報告されています。
国内の調査では有病率が6.5%で、15人に1人は生涯のうちに1度はうつ病にかかる可能性があり、推定で300万人以上のうつ病の患者さんがいると報告されて
おりますが、そのうち4人に3人はきちんと医療機関にかかっていないとも言われております。
また、自殺の約80%にうつ病性障害か関連しているといわれており、現在も国を挙げて自殺対策を行っている事は広く知られるところです。うつ病の発症を未然に防ぐ予防的対策、早期発見早期治療につなげ重症化を防ぐ対策、発病後の社会復帰支援対策など重層的に対策を作っているところです。
企業などでもストレス強度を職場単位で集団分析として行うストレスチェック制度が導入され、予防対策としての取り組みの真価が今後問われるところです。またうつ病者の復職支援やリハビリテーションとして有効性が期待されているリワークプログラムも、玉石混交と言われますが、徐々に地域に広がってきています。
うつ病と精神科医療の課題
精神科臨床においては、昔は統合失調症を対象とした精神病院での仕事が中心でしたが、現代的にはうつ病を含む気分障害を対象としたプライマリーケアでのニーズが高まり、各駅前に1件はメンタルクリニックがある時代となり、精神科医療にアクセスしやすい環境も整ってきました。この様にうつ病の裾野が広がった分「うつ病ブーム」の煽りから、臨床現場では「何でもかんでもうつ」といった過剰診断や疑陽性診断という新たな問題も出現しており、回復しない状態で一人にいくつもの精神科診断がついて、結果として、抗うつ薬や抗不安薬の多剤大量投与に至るケースも残念ながら少なくありません。
そういった話が巷で拡散し、「精神科に行くと薬漬けにされる」と不安を掻き立てられ、今度は逆に精神科医療サービスが必要な方に、サービスが届きにくくなっている事も見受けられます。このようにうつ病という病は既に国民病であるにも関わらず、ありふれた内科疾患のように患者さん自らが医療に自由にアクセスし、適切な診断と治療を受けるにはまだまだ課題の多い疾患であるのです。
これらの課題を解決するには、
うつ病自体が誰もがかかりうる身近な病である事を知り、みんなでうつ病に対する認識を深め、ストレスへのセルフケアを充実させ予防に心がけ、身近で心配な方がいれば、そっと相談に乗ってあげられるような関係作りをすすめたりしていくことが大切だと考えます。
うつ病の原因と症状について
うつ病の原因は未だ同定されておりませんが、脳内のモノアミンと呼ばれる神経伝達物質が不足し、脳の機能不全を起こすと考えられています。
その結果、不眠、食欲不振、頭痛や体の痛みなどの身体症状、憂うつで不安な気分、やる気が出ない、以前楽しめていた事を楽しめなくなるなどの精神症状や、アイディアが浮かばず集中力がなくなり、以前出来ていた事がスムーズに行えないなどの認知症状などの症状が出現します。
ここに挙げた以外の症状で発病される方もおり、また人によって症状をどう表現するか?周囲がそれをどう受け取りどう解釈するかでも、病気と心配されたり、ただの怠けと誤解を受けたりして、本人や周囲が困惑する事も多い訳です。
うつ病の治療について
治療については主に休養などの環境調整、薬物療法や認知行動療法などの心理療法があります。
症状の重さや病期(病の経過)の判断だけでなく、その方の特性や心理社会的な状況をアセスメントし、そちらについてのケアも同時に必要と考えます。また症状レベルの回復と社会機能レベルでの回復とはギャップがあり、場合によってはリワークプログラムといった包括的リハビリプログラムが必要な方もおられます。更に一旦回復して社会復帰された後も再発は防いで、健康な暮らしを続けていけるように、主体的で予防的な取り組みも重要と考えます。
生活の中で色々と対策を講じた上でも不調が続いたり不安に思う際は、周囲への相談と早めに身近な専門医にかかる事をおすすめします。
当院ではこれまでの臨床経験を活かし、多様なうつ状態・うつ病に対応します。
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