不眠について

”現在、満足のいく睡眠がとれていますか?”

この文章を読まれている方は、毎晩夜に満足のいく眠りがとれていなかったり、もしくは昼前に眠気が強くて仕事や家事に集中が出来ないなどで困っている方かと思います。自分なりに寝つきが良くなるように様々な工夫をしてきたけれど、どれも不十分な結果に終わってしまっている方が多いかもしれません。不眠や不眠症といった症状の背景にはどういった病気がかくれていたりするのかを見ていきましょう。

目次

睡眠障害について

まずは「睡眠障害」について、睡眠障害はまず睡眠に関する訴えがあること、そしてその訴えにより大きく3つに分類されます。
①”眠れない”。昼間に日中活動やパフォーマンスをを維持し、さわやかさを感じられるくらいの十分な睡眠がとれない状態です。背景には多様な原因があり、それを見極めることが大切です。

②”日中に非常に眠気が強い”。いわゆる過眠障害の可能性があり、原因の8割近くが睡眠関連呼吸障害(睡眠時無呼吸症)かナルコレプシーと考えられます。正確な診断のためには、終夜睡眠検査(ポリソムノグラフィ、検査の出来る病院)が必要となります。これらの疾患を放置すると身体の病気になってしまったり、事故につながる事もあり注意が必要です。

③”眠っている間に奇妙な事が起こる”。睡眠時随伴症の可能性があります。眠りながら話すとか歩くとか、中には暴れて家族などのベッドパートナーがケガをすることもあります。

正常な睡眠とは

大人の正常な睡眠は、第1~第4段階までの「レム睡眠」とその後に続く「ノンレム睡眠」を1セット約90分として、朝まで周期的に繰り返しながら徐々にノンレム睡眠が増え、覚醒に至ります(詳しい図)。

不眠症の現在

成人の約30%に何らかの不眠の症状があり、6~10%が不眠症を発症していると言われています。加齢と共に不眠症は増加し、50歳以上の中高年層ではうつ病や生活習慣病になる方が増えるため不眠も高頻度にみられるようになります。2009年の調査では、日本人の成人のうち20人に1人が睡眠薬を服用しているとされ、不眠症は特殊な病気ではなく頻度の高い病気になります。

不眠症の原因について

不眠症は訴えの一つで病気ではありません。不眠を起こす原因を想定して、それらを除外することで臨床診断を行います。不眠症を来す原因として大きく5つのものがあります。
①身体疾患
慢性疼痛、内分泌機能不全、糖尿病、喘息や心臓病(息苦しさ)、関節リウマチ(痛み)、前立腺肥大(頻尿)、睡眠時無呼吸症候群、ムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)など。

②精神疾患
気分障害(うつ病や躁うつ病)、不安障害、統合失調症、認知症など。特に不安障害と入眠困難(寝付けない)、うつ病と早朝覚醒(朝早く目が覚めて眠れない)との関連は有名です。

③薬やアルコール
身体の病気を治療する薬により眠れなくなる事もあります。また寝つきに一杯と巷で聞く話をうのみにして寝酒を続け、結果的に不眠症(ひどい場合はアルコール依存症)になる方も多いです。またカフェイン(緑茶なども注意)なども覚醒作用があり、寝る前に飲むのは要注意です。

④環境変化
いわゆる時差ボケや暑さ寒さ騒音や明るさ、枕が変わる、交代勤務に就くなどの環境変化も不眠や睡眠リズムの崩れを引き起こします。

⑤精神的ストレスや悩み
対人関係上の悩み、仕事や進路など多くの悩みが深まり過ぎたり、強いストレスや緊張を受けると人間は安心して休めなくなります。また眠れない状態で問題を解決しようとしても、うまく脳が働かず逆に問題を大きくしてしまい余計に眠れなくなることもあります。中には条件覚醒といって、一度ストレス関連性の不眠の後に、再び眠れないことを想像したり恐れて床に入るのが不安になり、寝ること考えただけで覚醒するように条件づけられることもあります。

不眠症の治療について

基本的には不眠症を引き起こしている原因診断を行い、それぞれの診断にあった治療を行います。身体疾患が原因にあれば内科で体の病気を治療したり、精神科で不安障害や気分障害があればそれに対する治療を行います。その上で不眠の症状へのアプローチを行い、大きくは薬物治療と行動療法があります。薬については可能な限り有効最小量を最短期間用います。行動療法とは、より長期的な催眠効果のある行動変化を引き出す治療です。また睡眠環境を見直すための助言なども治療の中で行っていきます。

不眠の症状が一過性で数日で改善するものであれば心配はいりませんが、1か月以上持続している場合は精神科など専門の先生に相談するのが望ましいと思います(不眠セルフチェック)。

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