過敏性腸症候群

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過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)とは、腹痛や腹部不快感が、便の性状の変化(便秘や下痢)や排便習慣の変化(朝に何度も行く、回数の変化)などの特徴を伴う慢性の腸の機能的疾患のことを指します。機能的疾患?とは、腸に明らかな炎症や腫瘍などの異常がなく、腸の働き(機能)に問題があるものです。子どもにも大人にも見られ、ストレスとの関連が強いことが広く知られています。

IBSは成人の場合は①便秘型、②下痢型、③混合型などに病気の型が分類され、それぞれに対してお薬があります。子どもの場合は幼ければ腸がまだ生理的な機能の発達成長過程にあるため、大人ほどに病型分類はできません。成長に伴い、症状が固定して表現されるようになってきます。

欧米では思春期の子どもの6~15%に見られるという報告もあり、頻度の高い疾患と考えられています。原因についてははっきりと同定されておらず、感染症や炎症、アレルギー、腸管運動異常などの多くの因子による内蔵知覚過敏(刺激を感じやすい)が考えられるようになってきています。加えて遺伝的影響やストレスイベント、生活上の不適応などの因子にも影響されると考えられています。

過敏性腸症候群の症状と経過について

基本的には一定期間、排便と関連した腹痛や腹部不快感が出現することです。

下痢型:起床時に腹部不快感や腹痛、便意が出現し、排便するとある程度症状はやわらぎますが、何度も腹部症状と排便を繰り返しすっきりしない状態が続きます。そのため、何度もトイレに行ったり、長時間トイレにこもることもあります。痛みは午前に強く、午後にはやわらぐことが多いです。また男性で若い方に多く登校時に不安が強まり、不登校にいたることもあります。

便秘型:緩下薬を用いなければ全く便意が生じない、もしくは便意はあるものの排便が困難な場合があり、女子に多く、あまり外来受診される事を少ないと考えられています。

混合型/その他:上記の便秘と下痢を繰り返したり、放屁(おなら)や腹鳴(お腹が鳴る音)、腹部膨満感などガスの症状に対して不安や悩みが強まるケースもあります。狭い教室やテストなど状況に対して不安と緊張が高まり、回避傾向が強まる事もあります。女性に多く、成長すると回復する場合が多いですが、まれに社会恐怖やその他の精神疾患に発展する場合もあり注意を要するケースもあります。

これららの併存症として、心身症や不安や抑うつなどの精神症状、ADHD自閉症スペクトラムなどの発達障害などを認め、それらが絡み合って2次的に登校回避やひきこもりに陥ってしまう場合もあります。

過敏性腸症候群の治療について

小児科や内科で身体的な精査の結果診断され治療開始される事が多いです。適切な診断と病気についての正しい理解を促す疾病教育、生活週間の改善に向けてのアドバイス、腹部症状に対しての薬物療法などがあります。上記の心身症や精神症状、発達障害などがある場合は治療が長引く場合もあり、その時には精神科を併診となることもあります。精神症状や心理面、環境面へのアセスメントと治療的介入が追加され、場合によっては精神科の薬物療法を行うこともあります。子どもの場合は治療が長引くと保護者の方も不安が強まることも多く、別にサポートや治療が必要になることもあります。まだ十分な証明はされなておりませんが、多くの場合は時間経過とともに症状はおさまっていくと考えられています。

症状が長引いている場合は、一度お近くの精神科、心療内科でご相談されることをおすすめします。

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