高齢者のうつ

このページを読まれている方の多くは、最近自分の親の様子が元気がなく「もしかしてうつ?認知症の始まり?」と心配されている方ではないでしょうか?もしくは知り合いがそうであったように、「自分もうつかもしれない?」と心配されている方かもしれません。

目次

高齢者になると、体力や気力が衰え、仕事や子育てや家事などの役割がなくなり、加えて身体の病気が出てきたりして健康の不安を抱えやすくなります。一人暮らしの方も多く、これから先の生活不安もあるでしょう。また、中には親しい人との死別などの経験もされており、若者と比べこれまで築いてきたものを失う体験を多くされ、孤独感を感じやすいのです。そんな生活の中で意外にうつ病になる方が多い事はあまり知られていないかもしれません。

気分障害の年齢・性別の患者数

下のグラフは、我が国で行われた、気分障害の患者数を性別・年齢階層別に見ていった調査です。

このグラフを見ると、気分障害(うつ病と躁うつ病)の方は、男性は40代が最も多いのに対して、女性は30代から70代まで高い水準であり、年齢があがるほど、女性の割合が高い事が分かります。

気分障害の男女別患者総数
(参考資料:総務省 統計局より)

働く方のうつの様に強いストレスにさらされて発病するより、何らかの喪失体験から発病に至る事が多いようです。上に書いたように、例えば、加齢や体の病気などによる身体機能や認知機能の衰え、退職などによる社会的役割、配偶者や親しい友人との別れなどがそれにあたります。

高齢者のうつの特徴

症状の現れ方も典型的な方は1/3くらいと言われ、抑うつ気分などの精神症状は目立たず、耳鳴りやめまい、ふらつき、頭痛や胃の不調などの身体的な訴えが前面に出てきたり、いつもぼーっと寝てばかりいるといった意欲の低下が目立つ方も多いです。また物忘れや集中力の低下なども認め、認知症との鑑別が必要になる場合もあります。加えて、脳血管障害などの身体の病気に続発して起こるうつ病もあります。「年のせいだから仕方ない」と軽症のうつ状態を見逃されたりすると、その後に重症化する事があることも注意が必要です。

治療について

治療においても注意が必要です。基本的な治療は同じですが、合併する身体の病気や飲まれている薬との相互作用、薬を上手に飲めているか?などにも注意が必要です。また年とともに体は小さくなり、体の中の水分量が少なくなり、体脂肪は増加します。このため脂溶性のお薬は体内に蓄積されやすくなります。加えて多くのお薬は肝臓で代謝されるのですが、肝臓への血流が減少する事と、肝臓に存在する薬を分解する酵素の働きが個人によって大きく異なる事から、人によって薬の量の調整が難しくなります。過量投与と過少投与の問題を念頭に置きながら、慎重な容量調整が必要となります。

体調不良やいつもと様子が違うようなら「年のせいだから仕方ない」と放って置かず、近くのかかりつけの先生に相談されるのが無難でしょう。

もし認知症うつか?と判断に迷うようなら、専門の精神科クリニックで相談される事をおすすめします。

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